空の旅は魅力的ですが、その裏では多くの人々が皆さんの快適な空の旅を支えています。
中でも「客室乗務員」の存在は欠かせません。
この記事では、そもそも客室乗務員とは?客室乗務員になるために必要なスキルや資格、試験対策、そして日々の業務生活など、実際にシンガポールで客室乗務員として働いている私が、これから客室乗務員を目指す皆さんに必要な情報を提供します。
客室乗務員とは?
客室乗務員の主な役割と責任
客室乗務員として最も重要な役割が、乗客の安全確保と快適な空の旅をサポートすることです。飛行中のサービス提供だけでなく、緊急時の対応や救命処置、乗客の質問への対応等が求められます。
一言で言ってしまえば、客室乗務員は「空の保安要員」「救命士」そして最後に「サービス従事者」なのです。
客室乗務員としてのキャリアパス
初めは乗務員から始まり、経験とスキルを積むことで主任乗務員や指導員などに昇格します。航空会社によっては、管理職への道も開かれています。
私が勤めている航空会社では、実際に客室乗務員から人事部、採用担当、育成、マーケティングなどに昇格された方々がたくさんいらっしゃいます。
客室乗務員になるために必要なスキルと資格
必要な教育と訓練
基本的に高校を卒業していれば、学歴としては、客室乗務員になることは可能です。
しかし、たとえ航空会社から内定をもらったとしても、その航空会社が提供するトレーニングと試験に合格しなければ実際に客室乗務員になれたとは言えません。トレーニングは会社にもよりますが、2か月から長くて4か月程度です。
私の航空会社では最初のトレーニングで、全過程を終了するまでの期間は2ヶ月半でした。
実際に私が受けた、8週間の航空会社トレーニングプログラムを一部紹介します。
1週目 | カスタマーサービス ・自社商品について(機内食など) ・お客様クレーム対応などのロールプレイ ・グルーミング(会社の雰囲気に合ったヘアスタイルやメイク) |
2週目 | ファーストエイド ・機内での様々な怪我などの応急処置 ・心肺蘇生 ・機内での出産の対応 |
3〜4週目 | 飛行機の安全に関する全般 ・機内安全装置に関して(消火器や酸素ボンベなど) ・様々な種類の機内火災の対応 ・機体からの緊急避難のロールプレイ |
5〜8週目 | 実際に機体のタイプ別のトレーニング ・それぞれの安全装置の場所 ・ドアの開け方 (コックピットも含む) ・スライドの使い方 ・機体のそれぞれの仕組み (煙探知機や酸素マスクなど) ・実際に練習で飛行機に乗って乗務してみる |
いかがでしょうか?
客室乗務員は単なるサービス従事者と思われがちですが、空の保安要員としてたくさんのことを勉強しなければなりません。
こうみると簡単そうに見えるかもしれませんが、これは実際のトレーニングのほんの一部です。実際には十数個ある安全装置に関してや、数ある緊急プロセスを一つ一つ丸暗記しなければなりません。
必要なスキル
コミュニケーション能力、問題解決能力、対人スキルはもちろんですが、意外にもかなりの肉体労働なので、スタミナが求められます。
格取得プロセス
航空会社の訓練プログラムを修了し、いくつか行われる試験に合格して、晴れて客室乗務員になることができます。
客室乗務員の試験対策
ペーパー試験対策
飛行機などについての一般的な知識は、書籍、オンラインコース、YouTubeなどを使って身につけることができます。
しかし、航空会社によって細かいルールなどが決まっているため、その航空会社が提供するトレーニングをしっかりと理解し、覚える必要があります。
実技試験対策
客室乗務員になるには、実際の業務状況や緊急事態を想定したロールプレイ形式の試験にも合格しなければなりません。
私が現在勤務している航空会社での、ロールプレイ形式の試験では、事前にグループ分けがされており、グループのメンバーと事前の空き時間を利用して、実際の流れを確認したり、試験官から出されるシナリオを想定したり、実際に声を出して練習して対策をしました。
何回かトレーニングのクラスで、トレーナーからフィードバックがもらえるので、その都度改善し、最後はみんなで合格することができました。
実践的な試験の対策としては、実際に声に出して、体を動かして練習する、これが大変効果的です。
テスト対策のコツとアドバイス
航空会社のトレーニングは、期間が短いので、その日に学んだことはその日のうちに覚える必要があります。一緒にトレーニングを受けている仲間と勉強をして教えあったり、問題を出し合ったりするのも効果的な試験対策です。
特に外資系の客室乗務員を目指している人にとっては、新しく学ぶ内容を理解するのに十分な英語力が必要になってきます。
航空会社から内定をもらってから、これらの専門用語を勉強するのでは遅いかもしれません。特にファーストエイドに関しては専門用語だらけなので私自身も本当に苦労しました。
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客室乗務員の日々の業務生活
一日のスケジュール
1 | フライト前ミーティング、(出発の90分~70分前スタート) *フライトによって開始時間は異なる |
2 | 安全チェック、(飛行機に入って最初に行う) *安全装置の点検、機内に危険物がないかのチェック |
3 | 乗客の案内 *ここからがいつも皆さんが目にする業務です。 *座席までの誘導 *頭上の荷物入れの整頓(多くの荷物が入るようにするため) *離陸のための準備 *私は業務の中でここが一番大変だと感じています。 |
4 | サービス提供 |
5 | お客様お見送り *ここまでが皆さんの知っている業務です |
6 | フライト後の安全チェック *日帰りフライトの時はここで機内清掃も一緒に行います |
フライト中の業務内容
フライト中は、皆さんに快適に過ごしていただけるように、乗客の安全確認、食事・飲み物の提供、機内の清掃などを行っています。また時には緊急時の対応も求められます。
休日と休暇、福利厚生
航空会社により異なりますが、基本的に、シフト制で、週休や年次有給休暇が設けられています。福利厚生は、健康保険、退職金制度、自身や家族、友達へのフライト割引等があります。航空会社によっては、住宅手当、交通費手当がもらえることもあります。
また、基本的にフライトで他の国での滞在時間(私たちはレイオーバーと呼びます)がある時は、会社が一定額の手当を支給してくれるので、様々な国で楽しんでいる間も、お給料が発生していることになります。
客室乗務員のキャリア展望
進路と昇進の可能性
経験を積むとともに、上級乗務員や指導員への昇格が可能です。
また、管理職を目指すこともできます。
関連する他の職業への転職
航空業界内であれば、地上職や販売、マネージメントなどへの転職も考えられます。
航空業界外であれば、受付や接客業、ホテルフロント、外資系企業などに転職する方も多いようです。
客室乗務員は細やかな心遣いはもちろんのこと、様々なスキルを身につけることができるので他の職業への転職も難しいことではありません。
さいごに
客室乗務員としてのキャリアは、厳しい訓練と試験から始まります。
多くの人々の旅を支え、笑顔を創り出す素晴らしい仕事の裏には一人一人の努力があります。しかし、その努力の先には素晴らしい経験が待っています。もちろん楽しいことばかりではありませんが、私はいつも飛行機から見える空の景色を見て、客室乗務員になれてよかったと心から感じています。
客室乗務員として得た知識や経験は今後のキャリアでも十分活かすことができる大変貴重な財産になります。皆さんが夢を叶えられるよう応援しています。